柔らかな呼吸のようなアルトサックスの音色が耳に届いてくる。スクリーンにエンドロールが映り込む頃合いだ。1時間54分のこの作品を何回観たのだろう。扉の外側からささやかに流れるサントラを頼りに、映像のワンシーンをどれだけ想像したか知れない。
そろそろ出発進行。A扉とB扉を一気に開くとポップコーンの香りが外気へと流れていく。次の上映までの15分間、飲み干された紙コップ、ゴミを集めて、右見て左見て下を見て落とし物忘れ物のチェック、はい、次の上映のスタンバイオッケー!
大学生の頃、高田馬場の小さな映画館、夏の期間だけのアルバイト。チケットとパンフレット管理、売店のちょっとした接客と簡単な掃除、空席があって暇な時は「観てきても良いよ」「レポート書いてもいいよ」なんていう緩い時間がほんわか流れる感じ。映画好きのわたしにとっては他のお仕事プラス1のバイトとして快適だった。ちなみにわたしのお好みはポップコーンよりもスピン派だった。
シネコンが主流の2024この頃、映画館事情もめっきり様変わりしたものだ。その当時の映画館は、前売り券というものはあったが座席の指定予約などはもちろんなく、人気のある作品では「立ち見」なんていう現象があったわけなのだ。入退場の入れ替えもなく、一度映画館に入ってしまえば極端な話、一日中見放題(むろん、同時上映がない限り、たったひとつの映画作品を見続けることになるのだが・・・)。
映画を見ないで寝ている人も多くいた。さてはて〜あそこは避暑地だったわけか?
生の音をライブで感じる、大きなスクリーンで音と映像を堪能する、わたしにとってとびきりの贅沢時間なのだが動画配信サイトの普及でCDやDVDをレンタルする機会がめっきりと減った。手軽に家で聴ける、観れることで映画館に行くことも少なくなった気がする。たまには映画館へ足を運んでみるとするか。
自分の経験を踏まえてほんわか共感したり、グイッと勇気をもらったり、新たな何かを求めてじゃぼんと一石を投じたくなったり、歴史や社会事象について思慮を巡らせてみたり、時にはじんわりと愛に浸ったり(笑)、わたしにとって何かと刺激が多い娯楽なのだ。
さて、今日はどんな映画を味わうことにするか。
ところでスピンはいずこ?
by ジャー・ジャー

