The choice is yours

The choice is yours

勇気を振り絞って「せーの!」って息を止めて目を瞑って一気に駆け抜けた。

じめっとしている梅雨時の話。
バスを降りて少し先を左に曲がると車が滅多に来ない人通りの少ない一軒家が立ち並ぶ幅狭い一本道がある。
通学帰りのお馴染みのコース。
長靴のぽちゃぽちゃと傘に滴るぷつぷつの弾けた音が好きだった。
背中にピタッと背負ったランドセルの中の筆箱はかたことと踊っていた。
友達と何かの話で馬鹿笑いをしながらのんびりと家路へと歩を進めていく。
少し先の方に何かが落ちているように目えた気がしたが話に夢中で大して気には留めなかったのだと思う。
徐々に近付いた瞬間、それが何なのか明らかとなり友達との会話と足はぴたりと止まった。
心臓の動きが飛べない鳥のようにバタバタしてきて、嫌な汗がジワっときているのを感じた。
立ち往生とは正にこのことだ。

喉の辺りが膨らんだりしぼんだりしている、くっきりと大きな目玉はこちらを見ているようにも映った、風と共に生臭さが鼻についた。
なんと、ぴょんた様が堂々と道のど真ん中にしゃがみ座っているでないか!
自分も友達も苦手とする生き物。
大きな声などあげたらケロゲーロと叫び返されて、もしかしたらぴょこっと飛びかかって来るかもしれない。
どうしよう、ぴょんた様を通り過ぎるなんてできるのだろうか、想像が恐怖心に勢いをつけて渦となっていく。
そんな自分の気分を打ち消すかのように、一瞬の隙を突いて「いや〜」と走り出した友達は一足先にぴょんた様の向こう側。
友達の声に良からぬ気配を感じたのか、驚いたのか、ぴょんた様の足がニュルッと動いた。
置いてけぼりになって、泣きたいくらいに孤独な気持ちに襲われた。
「どうしよう、嫌いなんだよ、いやぁ無理だよ、でもぴょんた様だって精一杯に生きてるのだ!あぁ〜」
ぐるりぐるり。おそらくほんの5分くらいの葛藤劇。

家に帰ってその出来事を家族に話して「他の道で帰ればよかったじゃない」と笑われて。
自分としてはまるで大きな壁を乗り越えたような、いらぬ優越感に浸った気になって。
慎重なくせに結局石橋をたたいて渡らない、小心者な自分のちっぽけな自己満足。
「人生は選択の連続」ってシェークスピアの言葉がある。
人は間違った決断をすることもある、時に失敗することもある、感情的な生物だから。
せめて悔いないように今日もまた頭をぐるりんぐるりん。

by ジャー・ジャー

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